2024.09/30
お知らせ
ARO協議会第11回学術集会にて発表を行いました
9月20日, 21日に開催されましたARO協議会第11回学術集会にて, 当コースM2の庄子さんが「未測定交絡に対する感度解析において、効果指標がハザード比の場合にレアイベントの仮定が不要となる手法の提案」、鈴木さんが「日内変動がある疾患のランダム化比較試験における測定誤差を考慮した治療効果の推定方法について」というタイトルで発表いたしました。
2024.09/30
お知らせ
ARO協議会第11回学術集会にて発表を行いました
9月20日, 21日に開催されましたARO協議会第11回学術集会にて, 当コースM2の庄子さんが「未測定交絡に対する感度解析において、効果指標がハザード比の場合にレアイベントの仮定が不要となる手法の提案」、鈴木さんが「日内変動がある疾患のランダム化比較試験における測定誤差を考慮した治療効果の推定方法について」というタイトルで発表いたしました。
大好きな統計学を仕事にしながら、医学の発展にも貢献できるなんてすごい!
岡田 和史さん
1期生
北海道大学病院
医療・ヘルスサイエンス研究開発機構
データサイエンスセンター
私は、臨床統計家育成事業の1期生として、2018年に京都大学SPHの臨床統計家育成コースに入学しました。2020年に修了した後は、大学病院の臨床統計家として働いています。
臨床統計家育成コースに入学する前は、経済学部に在籍していましたが、統計学に魅了され、統計学の勉強に打ち込んでいました。将来は統計学の知識を生かした仕事をしたいと漠然と考えていた大学3年生の秋ごろ、京都大学に臨床統計家を育成するためのコースが新しく開講することを知りました。大好きな統計学を仕事にしながら、医学の発展にも貢献できるなんてすごい、まさに自分が求めていた職業じゃないか!と思い、すぐに入学を決意したことを覚えています。
臨床統計家は、統計的な側面から医学研究をサポートするお仕事です。まわりの人たちは私たち臨床統計家のことを“統計の先生”と呼びますが、 “統計も詳しい医学研究の専門家”といったほうが実態に即していると思います。医師の知りたい疑問を明らかにするために、どのようにデータを収集したらよいか、どのような解析手法を適用したらよいかを、統計学の知識を駆使しながら、医師と一緒に考えます。医学研究についての高度な専門知識が要求されるだけでなく、医学研究の成否に大きく関わる、責任の大きな職業です。その分、携わった研究でよい結果が得られたり、論文として認められたりすると、大きな達成感を感じます。
統計家の活躍の場はいくつか考えられますが、どの職場でも共通して統計家に求められる最も大切な能力は、統計家ではない人たちにわかりやすく統計の考え方を説明する能力だと思います。京都大学SPHでは、レベルの高く、かつ分かりやすい講義が提供されているのはもちろんのこと、他分野の学生たちと一緒に行う実習を通して、統計学に詳しくない人たちとディスカッションする機会が多く設けられており、このようなコミュニケーション能力を育むには最適な場だと思います。
医学の発展に貢献したい、他人に教えてあげるのが好き、数式に抵抗がない。このような方は臨床統計家に向いていると思います。少しでも興味が湧いた方は、是非とも入学を検討してみてください。
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課題や試験で大変ですが鴨川散歩や京都のおいしいお酒でリフレッシュしていました
宮﨑 直己さん
1期生
慶応義塾大学病院
臨床研究推進センター
現在、慶應義塾大学病院臨床研究推進センターの生物統計部門に勤めています。臨床統計家育成コースで学んだことを基に、試験デザインの立案や統計解析計画書の作成、データ解析などの業務や自身の研究に励んでいます。生物統計家として働いて4年が経とうとしており、今では3人の臨床統計家育成コース出身の後輩と一緒に仕事をしています。
私は学部時代、数理情報科学科に所属し、統計学を専攻していました。ゼミの先生が生物統計学を専門にしており、命や健康を守るためには生物統計学が重要な役割を担っていることを知りました。そんな生物統計学を詳しく学びたいと思い、臨床統計家育成コースに進学を決めました。
大学院での2年間は講義に課題、病院実習や研究など忙しく大変なときもありましたが、得られた知識や出会った方々は大きな財産となっています。今でも講義資料を引っ張り出して確認することがありますし、同期や後輩とは勉強会をしたり、生物統計学以外のことでも相談する仲になっています。臨床統計家育成コースの先生方や秘書さんは卒後も気にかけてくださり、ありがたい限りです。
社会健康医学系専攻では、社会健康医学を体系的に学ぶため、生物統計学以外の知見も広げることができます。私は医学の知識が少ないことに不安を感じていましたが、医学の基礎的な講義もあるため、それは杞憂に終わりました。社会健康医学系専攻には年齢や職業など様々なバックグラウンドの学生がいるため、おもしろい話をたくさん聞けると思います。飲み会では人生の先輩に励まされることもありました。
課題や試験でストレスが溜まったとき(?)には鴨川沿いを散歩したり、神社仏閣を巡ったり、京都のおいしいお酒を飲んだりしてリフレッシュしていました。京都に住むのは初めてでしたが、今では私のアナザースカイです。
この文章を書いていたら、大学院時代が恋しくなってきました。 そうだ京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻臨床統計家育成コース、行こう。
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「若手統計家の集い」でさまざまな施設に勤務している仲間たちと交流しています
小津 有輝さん
2期生
奈良県立医科大学附属病院
臨床研究センター
みなさん、はじめまして。奈良県立医科大学附属病院 臨床研究センターにて臨床統計家として働いています小津と申します。
まずは臨床統計家育成コースそして臨床統計学(医療統計学、医学統計学、生物統計学、などいろいろな呼称がありますが、基本的には同じものと考えていただいて構いません)に興味を持っていただき、とてもうれしく思います。
臨床統計家と聞くと、みなさんはどんなイメージを思い浮かべますか? 医療×データサイエンス(医学系のデータを統計解析する専門家)などでしょうか。
じつは臨床統計家がカバーする範囲はデータ分析(統計解析)だけにとどまらず、データをとれば検証できる形へと研究仮説を明確化したり、どのようにデータを収集すればよいかアドバイスしたり(これには研究に参加していただく方への倫理的配慮も含まれます)、統計解析結果の解釈と意思決定を研究者と一緒に考えたりなど、データ分析の前後についても幅広く網羅しています。
これだけ聞くとかなり大変そうですよね。実際大変なのですが、私が所属しているAROでは医師などの医療関係者が今まさに直面している医学研究課題に研究チームの一員となって取り組める機会が豊富にあります。その研究成果が出たときの達成感は大変さに見合ったものだと思いますし、臨床統計家という仕事の大きな魅力の1つだと考えています。
臨床統計家育成コースでは、在学中から臨床統計学を専門としない同期の医療関係者のみなさんとディスカッションを行う講義がいくつかありますので、在学中から就職後の仕事の雰囲気を味わうことができると思います。
臨床統計家として仕事をしていく中で直面する課題には、(大学入試までの)数学とは違い、しばしば全員が納得する明確な答えがないものもあります。そのようなときに、気軽に相談できる仲間の存在ほど心強いものはありません。また臨床統計家育成コースの修了生が多く在籍しているコミュニケーション・ネットワークとして、主には東京大学の生物統計家の育成コース修了生と一緒に活動している「若手統計家の集い」というものがあり、さまざまな施設に勤務している仲間たちと交流しています。在学中だけではなく修了後も、きっと素敵な仲間たちと出会えると思います。
いつの日か、みなさんと一緒に仕事ができることを楽しみにしています。
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臨床統計家育成コースでの学びは実務に直結しており、社会貢献も実感できます
中塚 夕貴さん
3期生
岡山大学病院
新医療研究開発センター
私は2022年に臨床統計家育成コースを修了し、現在は岡山大学病院で統計解析担当者として働いています。具体的な仕事内容は、臨床試験の計画立案(どんな試験デザインにするか、試験の目的を達成するためにはどんな評価項目を設定するべきかなど)、統計解析計画書の作成、解析結果の作成、論文作成支援などを行っています。
私の所属施設では幅広い分野の臨床研究を実施しており、実際に就職して1年半ほどではありますが、医療機器、歯科、がん、希少疾患など様々な領域の臨床試験を担当しています。様々な領域の試験が舞い込んでくるので、その度に試験に関連する臨床的な知識や統計的な手法を勉強するのに苦労していますが、同時に新しい学びを得ることができ、とても充実した毎日を過ごしています。また、自分の担当した臨床試験で良い結果が出ると、新しい治療法の確立に自分が関わったことを実感でき、やりがいを感じます。
私は学部時代、理学系の学部に所属しており、昔から数学が好きだったこともあって、数理統計の研究室に所属していました。また、もともと医療にも興味があったため、漠然と、将来は医療と数学どちらも共通するような仕事ができたらいいなと考えていました。調べていくうちに医療統計学があることを知り、本コースへ入学することを決めました。臨床統計家育成コースでは、実務に直結することを多く学ぶことができたと思います。これから臨床試験に携わる統計家としての心構えや医療統計に関する知識を身に着けることができました。それだけでなく、医師や看護師の方と一緒に授業を受けることが多く、さらに課題研究発表では統計を専門としていない先生方に対してプレゼンをする機会があったりと、非統計家の方に対して統計を分かりやすく説明するためのスキルも身に着けることができました。
臨床統計家育成コースでの学びは実務に直結しており、更には社会貢献も実感でき充実した毎日を送っています。関心のある方は是非ご検討ください。
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疫学、環境衛生、倫理など公衆衛生全般についても学ぶ事ができ視野が広がりました
揖斐 裕実子さん
4期生
京都大学医学部附属病院
先端医療研究開発機構
私は臨床統計家育成コースの4期生で、2023年にコースを修了しました。現在は京都大学医学部附属病院で、臨床研究の実施計画書の作成、統計解析計画書の作成、データ解析や論文の査読などに携わっております。
私は学部の頃、数学を学んでおりましたが、もともと医療にも興味を持っておりました。将来の進路を悩んでいた学部生の頃、京都大学の社会健康医学系専攻の医療統計学分野出身の臨床統計家の方のお話を聞く機会があり、臨床統計という分野を初めて知りました。お話を聞く中で、データ解析の面から医薬品の承認申請に携わることができるという点に興味を持ち、臨床統計家育成コースに入学しました。
臨床統計家育成コースでは、統計に関わる講義はもちろんですが、社会健康医学系専攻のもとにあるので、疫学、環境衛生、医療倫理などの公衆衛生全般についても学ぶことができ、とても視野が広がりました。現在も講義資料をよく見直しています。また、年に1度、5日ほど、病院での実地研修があります。そこでは、病院見学やグループワークを通して、座学で学んだものが実際どのように現場で応用されているかを学びます。臨床統計家のもとにデータが届くまでにどのような職種の方とどのように関わるのかなど、現場での連携についても知ることができ、とても良い経験となりました。
大学院での2年間はあっという間でしたが、臨床統計家になるにあたって大切なことをたくさん学ぶことができたと思っております。興味をお持ちの方、臨床統計家育成コースで学んでみませんか。
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統計以外
疫学Ⅰ(疫学入門)
疫学Ⅰの講義では、臨床研究を含む社会健康医学(パブリックヘルス)領域に関わる第一人者の先生方による入門的な講義として、最も基本となる疫学の考え方、方法論について学べます。バックグラウンドが医学系出身ではない学生にも理解できるよう、疫学の基本的な考え方や疫学研究の種類、国内外の疫学の歴史とその変遷、用語、概念等について学べ、講義を通し、これからの疫学の課題についても考えることができます。
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統計以外
保健・医療の経済評価
保健・医療の経済評価の講義前半では、費用対効果に関する考え方や医療経済学の論文を読む際の着目点を学びます。限りある資源を本当に必要とされる集団へと有効に利用して最大の効果を出すという医療経済学の目的を通し、費用対効果への関心が高まります。講義後半では他の研究室の方と費用対効果に関する論文を評価・発表を行い、医療経済学はもちろん社会疫学や公衆衛生についても視野を広げることができます。
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統計以外
行動科学
臨床研究において、なるべく多くの参加者を募ることは重要ですが、容易ではありません。どうすれば多くの方に研究へ参加してもらえるか、研究を継続しやすくなるかを行動科学の面から理解できれば、臨床研究計画の際に大いに役立つと思います。行動科学では、人間行動に関連する理論の基礎について学ぶことができます。
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統計以外
文献検索法
文献検索法の講義では、医学分野における文献検索の方法について学びます。日々研究が進歩していく医学領域で、効率的かつ網羅的に文献を調べる能力は統計家にとっても重要なスキルです。疫学やEBM(根拠に基づく医療)の基礎知識を学びながら、初心者にも優しく文献検索のコツを学ぶことができるオススメの講義です。
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統計以外
社会健康医学と健康政策
社会健康医学と健康政策は、健康・医療に関わる制度・政策や社会の仕組みについて、様々な疫学・社会健康医学に関わる領域の先生方から講義いただけるオムニバス形式の講義です。非医療系のバックグランドの学生でもわかりやすく解説いただけます。レポートを作成し、復習することでさらに健康・医療に関わる制度・政策や社会の仕組みへの理解が深まります。
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統計関連
統計的推測の基礎
統計学に求められているのは、単なるデータ解析だけではありません。データ解析ができるのは統計家に求められるスキルの一つですが、どのような前提や数式に基づき、計算が行われているかを知っている必要があります。この講義では、新たな臨床試験方法論の研究を行える統計家になれるよう、本コースの統計関連項目を学ぶ上で必要となる数理統計学の基礎を学びます。講義を通して、推定や検定等の基礎となる部分を実際に計算・説明することで数学的に理解することができるようになります。
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統計関連
臨床試験
臨床試験の講義前半は過去の臨床試験の事例を基に、中間事象の扱い方や多重性の問題等について考えます。講義後半は他の研究室の専門医の方々とのディスカッションを通し、仮想臨床試験プロトコルを班で一つ作成します。仮想臨床試験プロトコル作成では、対象疾患に関する臨床的な背景を学ぶとともに、統計学の視点よりプロトコル作成に必要な知識や考え方(主要評価項目は何が適切か、サンプルサイズの設計をどうするか、欠測値の扱いをどうするか等)について理解を深めることができ、プロトコル作成の達成感と同時に、実務へのイメージが膨らみます。
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統計関連
臨床研究実地研修I、臨床研究実地研修II
京大病院・国循にて、臨床統計家の実務を学ぶために、カリキュラムの一環として、実地研修があります。京大病院では大学病院での多様な領域の臨床研究、国循ではナショナルセンターでの循環器領域の臨床研究をそれぞれで触れることができます。1年次研修は導入的研修(病院・関連施設見学、インフォームドコンセント見学、ガイドライン等)、2年次研修は実務的研修(既存・進行中の臨床試験に基づいたオンザジョブトレーニング)を行っており、2年間で学んだ知識を現場でどのように活かすか、コミュニケーションスキルや倫理的な考え方の重要性を学べます。
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統計関連
統計家の行動基準
統計家の行動基準では、統計家として働く上で重要な倫理的側面について学ぶことができます。統計家は、統計に関する知識や技能はもちろんですが、プロフェショナリズムを有する必要があります。統計家は統計のスペシャリストですが、自分の組織や研究者にとって不利な結果も隠さずに事実を求める姿勢が必要です。グループで和やかな雰囲気で自由にディスカッションを行うことで、自分が統計家としてどのように振る舞うべきかを考え、学べる意義深い講義です。
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統計関連
臨床統計家の実務スキル
臨床統計家の実務スキルの講義は、グループディスカッションを中心とした講義であり、解析のために必要なデータセット作成、集計、表・リスト・図についてグループ内で議論し、模擬臨床試験から解析を考えます。統計ソフトであるSASとRを使ったプログラム作成を課題として行うため、プログラミングスキルもスキルとして身に着けることができます。また、臨床統計家の役割の一つである、研究者の統計的問題についてコンサルテーションを行う統計コンサルテーションを実際にグループで行う機会もあり、臨床統計家として期待される責務や役割についても意識できます。
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統計関連
メタアナリシス
メタアナリシスは、よく耳にすることはあっても実際に習う機会が少ない統計手法の一つかと思います。メタアナリシスでは、臨床統計家育成コースの教員と外部講師による3日間の集中講義となります。メタアナリシスの数学的な講義に加えて、統計ソフトのSTATAやRを使用し、プログラミング実習を行います。集中講義という形で効率よく学習でき、とてもためになる講義です。
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